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エミール・ガレ展@サントリー美術館 [美術館]

早いものでもう8月です。
夏はあちこちの美術館や博物館で面白そうな企画展や特別展が開催されるので、当分毎週末何処にうろちょろしようか、開催期間と体力とお財布の中身との相談が続きそうです(苦笑)

以下 ↓ 昨日のうろちょろ記の続き。

泉屋博古館・別館は展示室が2つだけの小さめな美術館、と言うのを聞いていたので「六本木で何処かもう一カ所くらい見て回れそうだな」と思い、先にサントリー美術館へ「エミール・ガレ展」を見に行く事にしました。
ガレ展.jpg

六本木ヒルズで開催されている「ジブリの大博覧会」も見たかったのですが、こっちは土日は混みそうだったので。



サントリー美術館の入っている六本木ミッドタウン館内はすっかり夏仕様。
風鈴.jpg
風鈴2.jpg
館内のあちこちに全国の風鈴が飾られている模様。
陶製、鉄製、ガラス製、いろいろ素材がありますが、個人的にはやっぱり風鈴はガラス製が良いなぁ。


記事折り畳みます。





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今回はガレ生誕170周年を記念して開催された特別展ということで、オルセー美術館のガレコレクションを展示と聞いていたのですが、オルセーからの出品メインかと思いきや、出品数は全体の1/4の40点ほどでした(ダルビッシュ有選手の父親がコレクションしている作品も数点出品されていました)
もともとサントリー美術館も相当数のガレ作品を所有しているらしく、過去にも何度かガレの特別展を開催しているようです。


「ガレ」と言えば「ラリック」や「ミュシャ」などと共にアールヌーボーを語る際に必ず出て来る名前ですが、私的には実はガレよりもラリックの方が好きだったりします。
もちろんガレの作品も好きなのですが、何処か死を感じさせる退廃的なイメージがあり、それでいて生に対するギラついた執着をも感じさせるイメージで、ずっと見ていると甘い毒を含んだ飴をゆっくりと舐めている様な感じになってしまうというか…。
(上手く説明出来ていませんが、美しいけれど妖しくて目と感性に危うい感覚を齎しそうなそんな感じ)


会場に入るとまずガレ晩年の作品「脚付杯「蜻蛉」」が飾られています。
(注:会場内は全て撮影禁止です)
蜻蛉.jpg

晩年のガレは親しい友人や親戚にあて、この脚付杯と同じものを幾つか作り贈ったそうなのですが、この頃ガレは白血病が悪化して自分の死期を悟っていた時期。
そう考えて見るとこのトンボは飛んでいるのではなく力尽きて落ちていく様にも見えます。
背後のトンボの影も魂が抜けているかのよう。

ガレのガラス作品は明るいところで見ると
蜻蛉2.jpg
またイメージが違って見えるのですが、会場内は全体的に薄暗くなっているので退廃さに一層拍車がかかります


会場内は
第1章 ガレと祖国
第2章 ガレと異国
第3章 ガレと植物学
第4章 ガレと生物学
第5章 ガレと文学
エピローグ ガレの究極

で構成されており、ガレが父親のファイアンス焼きと家具の工場を手伝い始めた頃の作品。
やがて父から工場を引き継ぎ、陶器から様々な国の文化やデザインを取り入れたガラス器や、デザインの元になったガレ所蔵の美術品(ここでも初代宮川香山作の花器が展示されていました)。
博物画にも引けを取らない植物のデッサンや、それらを取り込んだガラス器のデザイン画。
植物を象嵌した家具や交流のあった文学者たちの作品の一節を刻んだガラス作品などが展示されており、最期に晩年の作品「ひとよ茸」ランプで締められていました。
ひとよ茸.jpg
ランプが点灯した状態で展示されているので妖しさ際立つ「ひとよ茸」ランプ。
このランプは全部で6つ製造されているのですが既に3つは破損しており、今では3つしか現存しないものです。
その内の1つが今回の展示品でサントリー美術館所蔵。もう1つはガレの故郷ナンシーにあるナンシー派美術館が所蔵。
そして最期までガレが手元に残していた最期の1つは長野の北澤美術館が所蔵しています。


初期の頃の作品には退廃的イメージはあまり感じられません。
ガレが好んだモチーフの蜻蛉や墨色のガラスは当時のヨーロッパでは使われていなかったものでしたが、当時「ナンシー水利・林業学校(現:フランス国立農村工学・河川・森林学校)」に留学していた農商務省官僚の高島北海から見せてもらった日本の水墨画から影響を受けたり、ヨーロッパに浸透しつつあったジャボニズム文化から蜻蛉をモチーフとして選んだのではないかと言われています。
(蜻蛉は前にしか飛べない事から「退かない虫=勝ち虫」として日本では好まれた意匠でした。また蜻蛉の古い呼び名を「秋津(あきつ/あきづ)」と言いますが、日本の古い呼び名も「秋津島(あきつしま)」と言い、日本では古い時代から身近に親しまれた虫となっていました)


デザインも日本風、中国風、エジプト風、イスラム風とそれぞれの国の文化や、北斎漫画、中国の鼻煙壷、日本の竹製の花器などをモチーフとしたものなどバラエティに富んだ作品が続きますが、展覧会中盤の「花器『カトレア』」辺りから生と死を感じさせる様な妖しさと退廃さが加わってきます。
カトレア.jpg
この花器、表側には咲き誇ったカトレア。反対側には萎れたカトレアがデザインされています。
この花器の製造年は1900年。親しい友人や家族に続けて先立たれ精神的に疲弊したガレ自身も白血病にかかり亡くなったのが1904年。
作風から考えるとこの頃は既に白血病に罹患していたのか、それとも精神的に疲弊していた時期だったのか。


もしガレが白血病にならず天寿を全うしていたら後世に残る様な作品をもっと残していたのでしょうが、ここまで妖しく刹那的な作品は出来なかったのかも知れません。
ぼんやりと光る「ひとよ茸」ランプを見ながら、何とも言えない毒の甘さを感じつつ会場を後にしたのでした。


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